最近、味のある古民家をリフォームして住みたいという人が、若い人を中心に増えていますが、リフォームかかる金額が大きいことから、できることは、DIYで、自分たちでリフォームをする人も多いように思います。

ただ、セルフリフォームには、色々と知識や経験が必要なので、難しい部分は、プロに任せて、比較的、誰にでも、できる作業は、自分たちでするというのが現実的な方法だと思います。

今は、ユーチューブで、プロが解説している動画などもあるので、床張りなどにも挑戦する人もいるかも知れませんが、プロ用の道具をそろえたりと、直接、プロの職人に教えてもらえない場合は、なかなか、一筋縄ではいかないのが現実です。

比較的、簡単にできるリフォームとして、漆喰や珪藻土を使った壁塗りや、労力さえかければできる塗装だけは、自分たちで作業をすると、より、愛着を持てていいと思います。

今回は、古民家の縁側に柿渋を塗ってみたので、参考までに、その過程をまとめてみました。

柿渋とは?

柿渋塗料は平安時代から伝わる、天然成分でできた塗料です。渋柿を青いうちに収穫し、搾汁したものを発酵・熟成させたものをいいます。

天然由来の成分なので健康被害を受けにくく、口に入れても問題ありません。小さなお子様のいる家庭やアレルギー対策など化学物質を避けたい方におすすめの塗料です。

防虫性と防水性に加えて、木の防腐効果も高いことから、木を長持ちさせるために、昔から用いられてきた伝統的な塗料ですが、何度も塗り重ねることで、それらの効果が高まり、色に深みが出ることから、古い建物のメンテナンスにうってつけです。

防水性が高いことから、屋内のみならず、屋外にも使用可能なので、柱や床など、色々な部分に塗装をすることで、家を長持ちさせることができます。

柿渋塗りに必要なもの

柿渋

まずは、柿渋塗料です。

柿渋は、柿の成分を発酵させて作ることから、独特の匂いがするのですが、最近の製品は、比較的、匂いが抑えられたものが多いです。

マスキングテープ

塗装をする場合、他の部分に色を移さずに、綺麗に仕上げたい場合は、マスキングテープを使うのをおすすめします。

特に、屋外の作業など、あまり、気にならないところでは必要ありませんが、屋内などで、細かい部分などに塗る場合は、面倒でも、マスキングで養生しておくと、仕上がりが綺麗になります。

紙やすり

塗装を滑らかに仕上げたい場合は、先に、やすりがけをして、下地処理することをおすすめします。

特別、必要な作業ではありませんが、初めて、塗装をする場合などには、このひと手間で、だいぶ、仕上がりが変わります。

やすりには、色々な粗さのものがあるので、何種類か用意すると、下地の状態にあったものを使えると思います。

油性刷毛

塗装に使用する刷毛です。

刷毛には、色々な種類のものがありますが、油性専用のものを使うと、仕上がりが美しくなります。

安価なものを使用すると、刷毛の毛が抜けてしまう場合もあるので、ある程度のものを使うのがおすすめです。

こて刷毛

今回は、普通の油性の刷毛を使用しましたが、こて刷毛は、一度に塗る面積が大きくて、作業効率が良く、仕上がりも綺麗なので、初めて、作業をする人には、こちらのほうが使い勝手がいいと思います。

細かい部分は、普通の刷毛を使って、大まかに塗れるところで、こて刷毛という風に使い分けるのもいいと思います。

作業の手順

それでは、道具をそろえたところで、作業の手順を説明します。

塗装をする前に、まずは、掃除機をかけて、硬く絞った雑巾がけをして、床面の拭き掃除をします。

 

雑巾がけをして、床面が乾いたところで、やすりがけをします。

やすりがけをする理由は、下地の調整をすることにより、塗料ののりを良くすることで、仕上がりを綺麗にするためです。

少し、面倒な作業になりますが、このひと手間で、仕上がり具合が変わります。

作業の短縮に役立つ便利な道具

電動サンダー。

今回は、直接、手で作業を行いましたが、作業効率を良くする意味では、紙やすりをつけて使用ができる電動サンダーで作業をするのもおすすめです。

作業のスピードが速くなるだけでなく、均一な仕上がりになるので、作業面が広い場合は、こちらを使うと、かなり、綺麗な仕上がりになります。

やすりがけをしたあとは、表面の木くずを雑巾がけで綺麗にふき取ります。

一度では、綺麗に拭き取れない可能性があるので、バケツを用意して、何度かふき取り作業をするといいと思います。

塗装面が完全に乾いたら、いよいよ、塗装作業に入ります。

塗料を持ち運びやすい手ごろなサイズのバケツなどにいれて、刷毛で塗っていきます。

塗装で、汚したくない部分は、先に、マスキングテープで養生をしてから作業をします。

マスキングは、作業ごとにするのではなく、塗装を行う前に、まとめて行っておくのがいいでしょう。

刷毛で少しずつ、塗料を塗っていきます。

特に、コツのようなものはありませんが、あまり、濃くならないように、薄く塗り伸ばすほうがきれいに仕上がります。

塗装は、下塗りと、仕上げ塗りの二回で仕上げるので、まずは、下塗りとなります。

下塗り作業が半分程度終わったところです。

自然な発色で、古民家には、ぴったりな色です。

すべての下塗り作業が終わったところです。

その時の気温や天気にもよりますが、完全に乾くまで待って、仕上げ塗り作業に入りましょう。

一日以上置いて、完全に下塗りした塗料が乾いたところで、仕上げ塗り作業をしているところです。

半分くらい、塗装が終わったところですが、さらに、色に深みが出て、古い建物ならではの魅力が引き立ちます。

仕上げ塗り作業が終わったところです。

深みのある味わいのある仕上がりは、古民家ならではの魅力を感じます。

防水性や防虫性、防腐効果の高い塗料なので、定期的に塗ることで、家を長持ちさせてくれます。

古民家以外でも、最近では、あえて、古材を使ったフローリングなどを新築に用いる人もいますが、そういうフローリングにも、柿渋を塗ると、さらに、味わいのある仕上がりになります。

柿渋は、塗ったあとも、しばらく、独特の匂いがしますが、換気をしておくことで、3日~1週間もすれば、匂いを感じなくなるので、匂いが気になる人は、できるだけ、換気をこまめにしましょう。

作業に適した季節について

作業する場合の季節については、比較的、塗料の乾きやすい時期がいいと思いますが、有害ではありませんが独特な匂いがするので、屋内においても、換気が必要なので、冬以外の時期、特に、気温の上がる春先や気温の下がる秋口あたりに作業をするのが、一番、適していると思います。

逆に、真夏に作業を行うのも、蒸し暑さで、作業効率が悪くなるので、夏も避けたほうが季節だと思います。

メンテナンスについて

メンテナンスには、何度も柿渋を塗り重ねてもいいとは思いますが、普段のメンテナンスには、自然素材を使ったワックスを塗ることをおすすめします。

蜜蠟ワックス

蜜蝋ワックスは、無垢のフローリングや家具など、天然の木のメンテナンスには、うってつけです。

蜜蝋ワックスには、ミツバチの巣から採取された蜜ロウが使用されており、小さなお子さんやペットが舐めても、身体に害がない体に優しい素材です。

蜜蝋ワックスは無垢の木に対して、表面に皮膜をつくります。表面が保護されることで汚れ防止、防腐効果、撥水の効果が得られます。

家具のメンテナンスに使えば、コップなどの結露でできるテーブルの輪染みなども、蜜蝋ワックスで表面を保護することでシミになりにくくなるというメリットがあります。

作業は、簡単で、スポンジなどにとって、あとは、薄く塗り伸ばしてから、余分な分を拭き取ります。

今回の柿渋のメンテナンスにも使用しているので、作業の詳細を記載しておきます。

蜜蝋ワックスの塗り方

 

蜜蝋ワックスをスポンジにつけて、薄く塗り伸ばしていきます。

余分なワックスは、布などで、ふき取りをすると、綺麗に仕上がかきしおります。

すべての作業が終わったところです。

柿渋の深みのある色はそのままで、表面に被膜ができたことで、汚れなどにも強くなりました。

蜜蝋ワックスは、比較的、作業が簡単なので、半年に一度ほど、作業を行うことをおすすめします。

柿渋以外でおすすめの塗料は?

古民家の雰囲気を考えると、柿渋がベストな選択だと思いますが、自然な素材を活かすという意味では、自然素材をつかった他の塗料もおすすめです。

オスモ オスモカラー フロア

ドイツのオスモ社製のフローリング用の自然塗料は、仕上がりも美しく、和モダンな雰囲気にしたい人におすすめの塗料です。

メンテナンス用のクリアのものから、様々な色のものがあるので、その人の好みで、選択が可能なのも魅力です。

自然素材なので、身体にやさしく、お子さんやペットのいる家庭でも、安心して使用できます。

柿渋のような独特な匂いがない分、使いやすい塗料だと思いますが、用途に合わせて、色々な種類のものがあるので、塗装をする場所によって、わけて使うこともできます。

作業のしやすい塗料だと思うので、柿渋以外で、塗装を考えている人は、選択肢の一つとしておすすめです。

最後に

古民家は、現代において、とても、貴重なものですが、現代の暮らしにおいては、決して、住みやすいものではありません。

ただ、昔ながらの文化を残すという意味においては、とても、価値が高く、できることなら、残しておきたいものの一つです。

京都や金沢など、古い街並みは、それ自体が、人を惹きつける要素として、多くの観光客を呼び込むことに貢献していますが、田舎にある古い農家の古民家など、昔の暮らしを体験するという意味でも、現代に生きる日本人にとって、残していくべきものだと思います。

住む人のいなくなった空き家を再生するには、なかなか、労力がかかりますが、比較的、状態の良いものは、できるだけ、未来にも残していくという取り組みを起こっていくことは、日本の文化を、守ためにも重要なことだと思います。