『The Blue Zones 2nd Edition 世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール』

ダン・ビュイトナー著

日本では、少子高齢化と平均寿命が延びていることから、年々、平均年齢が上がっていますが、最近では、平均48.6歳と世界でも二番目に平均年齢の高い国になりました。

一番の平均年齢の国が、モナコ共和国という日本とは比べ物にならないくらい、人口規模の小さい国だということを考えると、かなり、衝撃的な数値です。

ここ数年、少子高齢化が問題であるというのは、メディアの報道などでも、目にする人は多いと思いますが、実際に、こうして、数値としてみると、感覚以上に、高齢化が進んでいることがわかります。

最近、政府は、異次元の少子化対策などと打ち出しましたが、これまでの経緯を考えてみても、すぐに、解決できる問題ではないのは、明らかなので、まずは、その状況を受け入れつつ、高齢化しても幸せに暮らせる社会にしていくことも重要だと思います。

世界には、ブルーゾーンと呼ばれる健康で長寿な人が多く住む地域があり、これからの日本の社会を考える上で、とても、参考になる地域だと思います。

具体的に、5つの地域が取り上げられていますが、その中の一つに、日本の沖縄も入っているので、その生活習慣を取り入れることで、健康的に長寿を生きるヒントがあるように思います。

それらの地域では、具体的に、9つの習慣が大切にされているようですが、その中のいくつかを意識的に、生活の中に取り入れることで、高齢になってからも幸福感の高い生き方ができるように思います。

ルール1:適度な運動を続ける

適度な運動が健康にいいことは、ほとんどの人が理解していることだと思いますが、実際に、習慣的に続けようと思うと、なかなか、難しいことの一つかも知れません。

普段、デスクワークなどで、座ったまま仕事をするような人や、忙しくて、なかなか、時間の取れない人は、特に、意識的に、身体を動かす必要がありますが、近所を散歩したりといった簡単な運動でも、難しいと感じる人は、普段の生活の中で、職場が近ければ、徒歩や自転車で、通ったり、意識的に、階段を使ったりといったことでも十分だと思います。

山歩きだったり、何かスポーツを趣味として初めてみるのも一つの手段だと思いますが、自分が楽しめる趣味を見つけられると、ストレスの解消にもなるので、一石二鳥でメリットは大きいと思います。

ルール2:腹八分目で摂取カロリーを抑える

最近、炭水化物を減らすダイエットなどがはやったりもしましたが、実際に、摂取するカロリーを減らすことで、見た目も若々しく保てて、アンチエイジングにもなるということが分かってきました。

間食をやめたり、食事の回数を減らすのも、その方法の一つですが、ひと昔前まで、朝ごはんを抜くのは良くないと言われてきましたが、最近の研究では、食事の時間を16時以上空けることで、古い細胞を使って、エネルギーを生みだすことから、ダイエットとともに、アンチエイジングになることがわかり実践する人も増えています。

もちろん、育ち盛りの子供には、必要ないことですが、年を重ねた30代の後半あたりから、取り入れるようになると、スリムな体系を維持できて、見た目にも、若々しさを保てます。

一日、一食という生活習慣をする人もいるようですが、それ自体がストレスになってしまう場合もあるので、暴飲暴食をせず、できるだけ、食事の量を減らすだけで、十分、効果はあると思います。

少し、空腹なくらいがちょうどいいと思うので、満腹にならないような量の食事の習慣を続けていくことが大切だと思います。

ルール3:植物性食品を食べる

できるだけ、動物性のタンパク質や、糖分を控えて、植物性食品を食べるのも重要な習慣なようです。

最近、欧米では、ビーガンのような、極端な菜食主義を実践する人も増えていますが、さすがに、そこまで、する必要はないので、魚と野菜を中心とした日本の伝統的な食生活をすることで、十分、効果があると思います。

日本人の長寿の理由は、味噌や醤油などの発酵食を取り入れてきたことも関係していると思いますが、できるだけ、野菜と発酵食品を一緒に食べると、腸内細菌のバランスを整えてくれるので、肉が好きな人は、そういう食習慣を取り入れることが重要だと思います。

健康や肥満の一番の敵は、炭水化物を中心とした糖分の取りすぎだということが分かってきたので、糖分を控えた食事をするのも重要になります。

ルール4:適度に赤ワインを飲む(一日1、2杯程度)

ルール4については、イタリアの一つの地域の習慣なので、すべての人に当てはまるわけではないと思いますが、赤ワインのポリフェノールと、アルコールの適度な緊張の緩和が身体にいいからだと思います。

ポリフェノールが身体にいいことは、知られるようになりましたが、赤ワインには、多くのポリフェノールを含むので、アルコールの中では、比較的、身体に良いものだと認識はあります。

ただ、これも、適度にというのが重要なポイントで、酩酊するような過剰なアルコールの摂取は、身体には、良くないので、緊張感がほぐれる程度のほろ酔い程度の飲酒がいいのだと思います。

ポリフェノールは、ココアのにも多く含まれているので、アルコールが飲めない人は、ココアを飲む習慣を作るのもいいかも知れません。

ルール5:はっきりした目的意識を持つ

日本には、昔から、『生きがい』という言葉がありますが、人の幸福を考える上で重要なものとして、世界的に、注目されています。

メディアの露出も多いので、認知度の高い脳科学者の茂木健一郎が、海外に向けて、日本人の精神性をあらわした『IKIGAI』というそのものなタイトルの本を出していますが、日本語にも翻訳されているので、読んだことのある人も多いかも知れません。

日本人は、昔から、報酬に関わらず、それをやり続けること自体が、目的と喜びをもたらすという意味で、生きがいという言葉を使ってきましたが、今の変化の激しい世の中にあって、世界的に、その概念が、とても、注目を集めています。

職人の世界には、生涯現役という人も多いですが、その精神性には、いくつになっても、仕事に対して、技術の向上だったり、新しい視差を得ることに喜びが含まれるからだと思います。

それは、仕事以外の趣味の世界でも同じで、続けることで、幸福だと感じられたり、自分を向上させたりしてくれるものなら、どんなことでもいいと思います。

目的意識というと、何か、崇高なもののような感じもしますが、単純に、それをすることが好きで、自発的に続けられるものを持つことが大切だということだと思います。

ルール6:人生をスローダウンする

最近は、スマホとネットの普及により、若者を中心として、タイムパフォーマンスという言葉を聞くようになりましたが、変化の激しい時代において、無駄に忙しさを感じて、疲弊している人も多いと思います。

若いころには、刺激のある生活は、楽しさも感じられるものですが、過剰な刺激は、焦燥感を生む原因にもなり、自分の状態に気づけないくらい余裕のない生活は、逆効果にもなります。

アウトドアやサウナブームは、その反動から生まれたものとも言えますが、休みの日くらいは、リラックスしたいというのを本能的に求めているからだと思います。

デジタルデトックスという言葉は、ネットやスマホに依存する人が、その自覚がないままに、増えていることが原因とも言えますが、意識的にスローダウンした生活は、精神的なゆとりを持つことにつながり、幸福感の高い生活が送れます。

忙しくなくても、忙しいと感じるのは、明らかに、ネット社会にも原因があると思いますが、余裕のない状態でいるのは、心身ともに、疲弊させてしまうので、疲れていると感じた時は、リフレッシュできる場所で、ゆっくりした時間を過ごすのが重要です。

それには、遠くまで出かける必要はなく、リラックスして過ごせる居心地の良い飲食店などで、ゆっくり時間を過ごすことでも十分だと思います。

ルール7:信仰心を持つ

日本人のほとんどは、公共の場所で、宗教について語ることはほとんどないので、信仰心を持つと言っても、なかなか、ピンとこないと思いますが、世界を旅すると、逆に、宗教を信仰していない人のほうが、圧倒的に、マイノリティーであることを実感として持ちます。

日本は、仏教の国だと言えないこともないですが、お葬式の時だけ、お坊さんにお経を読んでもらうことだけが、接点という人も多いと思います。

若い世代は、記憶として残っていない出来事だと思いますが、1990年代に起こったオウム真理教のテロ事件だったり、最近では、統一教会の問題などがあり、宗教に対する胡散臭い印象を持つ人が多いのもその原因の一つだと思います。

ただ、昔から、日本には、アミニズム的な思想があり、それは、山を敬うことだったり、針供養といった、物にも、目に見えない何かが宿っているという感覚をもってきたように思います。

信仰心は、何かを信じることで、力を与えてくれることが重要なのだと思いますが、それは、自然を美しいと感じることでも十分だと思います。

あとは、自分なりに、倫理観を持つことだったり、周りの人のために、何か貢献をしようという心の持ち方だったり、そういうものが幸福につながるのだと思います。

ルール8:家族を大切にする

何か、危機が起きるたびに、家族の支えの大切さを感じる人は多いと思いますが、ブルーゾーンで生活する人達は、特に、家族を大切にする意識が強いようです。

今回のコロナウィルスによる影響は、様々なネガティブな要因も生み出しましたが、コロナ禍の時期に、日本でアンケートを取ったところ、逆に、幸福度が上がったという人が増えたという結果が出ことには、少なからず、驚きがありました。

なぜ、幸福度が上がったのか詳しくみると、コロナの影響で、外出ができなくなったことで、家族で過ごす時間が増えたことが、一番の原因ということのようです。

人間は、本能的に、家族を大切にする生き物だというのは、当然のことですが、特に、今回のような危機があった場合に、家族と長い時間を過ごせたことには、ポジティブな影響が大きかったようです。

仕事が忙しいと、なかなか、家族と過ごせない人も多かったように思いますが、今回を契機にして、より、家族を大切にするようなライフスタイルを選択する人は増えていくように思います。

実際に、ライフワークバランスを大切にした会社のほうが、業績も上がり、会社としても働く人にとっても、ポジティブなことが多いことはわかっていましたが、これを機に、さらに、その流れは加速していくことが期待できます。

ルール9:人とつながる

人との繋がりは、人生に与える影響が、大きいのは理解できますが、個人主義価的な現代社会では、昔のような濃厚な人間関係を作るのは、難しいのが現実だと思います。

ただ、気の合う仲間と趣味の時間を楽しんだり、損得抜きで付き合える人との繋がりがあるほうが、幸福だと感じる人は多いと思います。

サードプレイスという言葉がありますが、仕事でも家族でもない第三の場所として、気の置けない仲間と過ごせるような居心地の良いバーやカフェなどの場所で過ごす時間のことを言います。

人は、生きていく上で、色々な人間関係を経験するものだと思いますが、仕事では、気の合う合わないというのは、選べるものではないので、仕事以外の場所で、信頼できる友人がいることは、とても、重要だと思います。

それは、学生時代からの友人だったり、趣味で出会った仲間だったりするのかも知れませんが、定期的に、信頼できる友人と楽しい時間を過ごすことで、幸福度の高い生活が送れて、心身ともに、ポジティブな影響があると思います。

実際に、ブルーゾーンを旅行してみると、何か感じるものがあると思いますが、少し、長い休みなどが取って、ゆっくりと滞在してみると、色々と気づくことも多いかも知れません(国内の沖縄なら、行くのに、それほど、ハードルは高くないように思います)。

人生、100年時代と言いますが、いくつになっても、元気でいられれば、幸福度の高い生活が送れるので、一つでもできる習慣があれば、取り入れてみることをおすすめします。