「売らない店」がなぜ売れるのか
コロナ禍で「リアル店舗」の価値を再定義

新型コロナウィルスが騒がれるようになって、そろそろ、丸2年経ちます。

その間に、何度か緊急事態宣言が出されたりと、今まで、経験したことのないような状況が続いていましたが、コロナの影響により、デジタル化がすすみ、それまでとは違った価値観を持つ人が増えているように思います。

インターネットを日常で使われるようになったのは、1990年台の中盤以降のような気がしますが、それが、より、身近に感じられるようになったのは、2000年台後半のスマホの登場によるものだと思います。

インターネットで物を買うというのは、今では、当たり前のことだと思いますが、昔は、インターネットは、情報を検索するのがメインで、アマゾンや楽天などのサイトを使って、安全に買い物ができると感じられるようになったのは、ここ20年ほどのことだと思います。

ほとんどの人がインターネットを通じて買い物をするのが当たり前になった時代においては、実際の店舗に足を運んで買い物をするという体験自体、縮小されていく時代なのかも知れません。

今回のコロナの影響は、それをさらに加速させたようにも思いますが、コロナ前から、若い世代ほど、実際の店舗で買い物をするより、ネットを通じた買い物のほうが身近で安全に感じられるという価値観を持つ人が増えていたように思います。

実際の店舗での買い物では、人とのやり取りが不可欠で、そのコミュニケーションが楽しいという人も多いかも知れませんが、逆に、それが苦手という人にとっては、ネットで買い物をしたほうがいいと考えるのは普通かも知れません。

個人的な経験で言えば、若いころ、洋服を買いに行くには、店舗まで足を運ばなければなりませんでしたが、相手も商売なので、目的の物以外も、あれやこれやと、色々とすすめられて、上手く、断り切れず、欲しくないものまで買わされた苦い経験があります。

ネットを通じて、買い物をすれば、こちらが、購入のボタンを押さない限り無理やり買わされるという心配がないので、若い人ほど、ネットでの買い物のほうが安心できるという人は多いように思います。

ただ、ネットで買い物をする場合は、自分自身の選択がすべてなので、本当に、自分の欲しいものを吟味するには、ある程度の知識や経験が必要になります。

実際に、ネットで売れるのは、コストパフォーマンスの良い安価な物か、逆に、ブランド価値が確立された高価な物に偏りがちになると言われていますが、それは、失敗する確率が低いからだと思います。

実際の店舗にいけば、商品について詳しい店員の人に聞けば、色々と教えてくれるわけではありますが、相手も商売である以上、100%こちらが欲しいものをすすめてくれる保証がないのが難しいところです。

その消費者のネガティブな心理を解消する手段として、リアルな店舗を、売る場所ではなく、自分たちの商品やブランドを好きになってもらう場所として利用するという考え方に変えてしまえば、かなり、商売のやり方が変わるように思います。

実際に、店舗に在庫を置かず、物は、インターネットを通じて売るようなやり方をするという方法をとる店やブランドが出始めているようです。

店舗で物を売らない一番のメリットは、売るというプレッシャーがないので、そこで働く人達が、純粋に、自分たちの好きな物を紹介できて、利用する人も、気軽に、商品に対して、質問したり、コミュニケーションを楽しめるところです。

働く人にとっても、店を訪れる人にとっても、余計なストレスがかからないので、そこでの体験は、ポジティブなものが多く、ブランドを好きになってもらったり、ファンになってもらったりする可能性が高くなります。

逆に、売るのをネットだけにすることにもメリットはあり、買いものをする人の嗜好性をデータとして蓄積できるので、新しい商品やサービスの開発に利用できるようになることです。

グーグルやアマゾンのようなIT企業がこれだけ多くの価値を生みだしている理由は、膨大なデータを集めて、それを分析して、消費行動につなげていることですが、一つの店舗やブランドの中で、そのデータを集めることによるメリットは、中長期的に見て、とても、大きなものになると思います。

買い物をする側にとっては、リアルな店舗で、いらないものを買わされるということもなく、気になるものについては、相談をできて、本当に、気に入ったものだけ、ネットを通じて、買い物をすれば、ベストな選択ができたという満足感が得られるので、また、その店で買い物をしたいという動機にもつながります。

一度、気に入ったものは、ネットで買い物をすれば、再度、店に足を運ぶ必要がないので、リピート消費にも繋がるという意味でも、リアルな店舗で売る以上に、メリットが大きいように思います。

実際のところ、店に来た人が、あとから、買い物をしてくれるという保証はないので、まだまだ、物を売らない店を作るのは、ハードルが高いように思いますが、それで、結果を出すところが増えれば、一つの消費の形になっていくのかも知れません。

働く人にとって、物を売りつけるという気持ちにならず、純粋に、自分たちの好きな物の良さを相手に伝えることが仕事というのは、モチベーションとしても大きなものがあり、働く人のとっても、やりがいという意味でも大きいと思うので、上手くいく可能性は高いように思います。

ネットかリアルかというのは、どちらがいいかという単純な問題ではなく、ネットにはネットの良さがあり、リアルにはネットの良さがあるので、そのいいところを組み合わせていけるところに、次の価値があるように思います。