コロナウィルスのパンデミックが起こってから、早くも、丸二年が経ちましたが、なかなか、コロナ前の生活に戻れない日々が続いています。

コロナ前と比べて、一番、変わったところと言えば、自由に、人と会えなくなったことだと思いますが、逆に、人と会えないことで、それまでの人間関係を考えるいい機会になったようにも思います。

人と会うことには、良い部分も悪い部分もありますが、人と会えないことで、寂しさを感じる反面、一緒にいると、ストレスだと感じるような相手とは会わなくて済むようになったメリットもあります。

人間関係には、いいものとそうでないものがあり、多くの人は、できるだけ、良好な人間関係を築ける相手と一緒にいたいと思うものだと思います。

もちろん、人との関係性において、すべてが好きであるとか、すべてが嫌いであるとか極端なものではないと思いますが、好きになれる部分のほうが、嫌いな部分より多いと思える相手と一緒にいるほうが幸せに感じるのは事実だと思います。

それまで、何気なく、付き合ってきた相手も、自由に会えなくなることで、その相手との時間は、ポジティブなものだったのか、ネガティブなものだったのか、冷静に考える時間ができたという意味では、今回のコロナは、悪いことばかりではないように思います。

もちろん、スマホさえあれば、常にコミュニケーションが取れるので、会えない時間が長くなっても、人との繋がりがなくなるものではありませんが、それでも、実際に、会いたい相手と、そうでない相手では、明確に意識するようになったのではないでしょうか?

それは、仕事の同僚だったり、学校の友人や趣味の仲間だったり、色々だと思いますが、その相手といることで、自分自身がポジティブな気持ちになれるような人との繋がりは、逆に、強くなったように思います。

人は、同じ時間を長く過ごしていれば、それなりに、相手のことを理解したような気持ちにもなりますが、実際に、会えない時間が多くなると、よほど、意識しない限り、相手が、どんな気持ちで、どんなことを考えているのか理解するのが、難しいということに気づきます。

日本人は、空気を読むのが得意ですが、逆に言うと、空気さえ読めば、相手のことを理解したような気分になれるので、なんとなく、相手のことを分かったつもりにはなれますが、実際のところ、深くコミュニケーションをするには、じっくり、相手を観察して、考える必要があります。

シンパシーとエンパシーという言葉があり、その意味を、多くの人は、同じようにとらえているように思いますが、シンパシーは、相手の感情に同調したり、同情するといった意味合いで、エンパシーは、相手の立場に立って、思考するという意味で、大きく違います。

日本人の空気を読む能力というのは、シンパシーという言葉に近く、それを共感することだと勘違いしてしまいますが、空気を読むことと、相手を理解することには、大きな距離があります。

日本には、古くから、あうんの呼吸というように、言葉で理解せずとも、相手の気持ちを察することで、関係性を維持してきたように思います。

同質性の高い集団においては、空気を読んで、相手に同調することが、一番のコミュニケーションの手段だったように思いますが、コロナの影響で、人と一緒にいる時間が少なくなったことにより、コミュニケーションの手段が共感に近い形になっているように思います。

もちろん、感情に配慮するのは、大切なので、相手の感情をまったく無視するようなコミュニケーションの仕方では、相手との関係を築くのは難しいとは思いますが、それでも、感情を重視しすぎるあまり、自分の意見を言えなかったり、逆に、相手の話をきちんと聞くことができなかったりということは少なくなったように思います。

コミュニケーションの手段で重要なのは、相手の感情を受け止めつつ、冷静になったところで、自分自身の意見を相手に伝えるということだと思います。

それには、ある程度の距離感が必要だと思いますが、今回のように、物理的な意味で距離ができたことは、それを考える大きなきっかけにもなったように思います。

もちろん、一緒にいるだけで、楽しいと感じられるような相手との時間は、それだけで大きな価値があり、そういう相手との時間が少なくなったことは、大きなデメリットだと思いますが、逆に、実際に会える時間が少なくなったからこそ、会っているときの時間は、より、価値があると感じられるものだと思います。

実際に、顔を合わせて話をすることで、色々と得られるものが大きいと感じる相手というのは、とても、貴重なものです。

好きな相手との時間が増えて、それでない相手との時間が少なくなるというのは、コロナによる、変化の一つかも知れません。

ただ、今、自分が好きな人と付き合っているだけでは、世界が広がらないので、この機会に、新たに、人間関係を作ってみるのも楽しいように思います。

それには、自分の関心があることに対して、同じような興味を持つ人の集まりに参加してみるのが、一番、簡単な方法だと思います。

今は、オンラインで、興味や関心のある人を探すのが簡単な時代なので、気軽に、色々な人と出会う機会は多いように思います。

ただ、身近にいる相手も、話を聞いてみると、面白いと感じることもあるので、相手が好きだと思うことに関心を持つことでも関係性は築けます。

自分に興味の無い話を聞くのは、退屈だと思う人は多いかも知れませんが、自分の好きなものについては、生き生きと話す人は多いので、話を聞いてみると、意外と、楽しいと思えるものです。

人は、だれしも好きなことや興味のあることに、関心を持ってもらえると、うれしく感じるものだと思います。

人との関係性を築く上で、相手に好意を持ってもらうことは、大切なことだと思いますが、相手の興味に関心を示すだけで、それができるのなら、試してみる価値はあります。

それまで、苦手だと思っていた人でも、意外と、仲良くなれたりするかも知れません。

好奇心の強い人が、楽しそうに感じられるのは、色々な事に興味を持つことで、人との関係性を上手く築くことができるというのも大きいと思います。

コロナは、ネガティブなことばかりではなく、この変化を前向きにとらえると、自分自身の成長や変化にもつながるので、この時期だからこそできることに挑戦してみると、楽しい毎日が送れるように思います。